たまの覚書

記憶を書きとめておくところ

2019-12-06から1日間の記事一覧

哀願

こたつの下にもぐりこんで寝るようになったら、今度は殴られ金を奪われる母の必死の哀願が聞こえるようになった。最悪だ。

ぎゃくさつ

ある日帰ったら、家の中はグチャグチャだった。すべてがひっくり返され、バラバラにされ、コードというコードが薬味のネギみたいに切られていた。丁寧な仕事だなと思った。 私は初めて家に土足で上がり、モノのぎゃくさつげんばでぼんやりたたずんでいた。 …

呼吸

アレルギー性鼻炎持ちだった。病院には一度かかったきりで、それ以降は行かせてもらえなかった。 「鼻息が荒くて気持ち悪い」と言われ続けた。 「鼻の通りをよくしてやる」と言われ、ストローを鼻に突っ込まれた。血がたくさん出た。 口でしか呼吸ができなく…

踏まれる

横になっていると全体重をかけて踏まれる。か、ボール遊びのように蹴られる。 痛いというより苦しくて、起きている人の気配がそばにあると眠れなくなった。 こたつの中でまんじりともせず眠るのが好きだった。上にものがあれば踏まれない。おかげで今でも寝…

中にもスイッチほしい

トイレに入ると、三回に一回くらいの確率で、外から扉を押さえられ電気を消された。 真っ暗なトイレは怖くて、泣き叫んで扉を叩くといつも笑い声が返った。そのうち、不意に力が緩み、私は勢いあまって外へ飛び出しながら転ぶ。 転んだ私の無様な姿を見て、…