たまの覚書

記憶を書きとめておくところ

2019-01-01から1年間の記事一覧

図書館

幼い頃は、家にいるのが苦痛だったので学校の図書室か遠い図書館に出掛けていた。 本に囲まれていると安心する。「荒野に猫は生き抜いて」という本に出会った。 猫の生きざまに自分を重ねて、なんとか生きて、なんとか生き抜いて、と祈りながら読んだ。 猫は…

あるある

わりと虐待サバイバーあるあるだと思う。 自分の子供が羨ましい。 私は陰険クソ野郎ではあるが、子供にそれを悟らせまいと努力ができる程度の常識人でもある。 子供には精一杯の愛情を注いでいる。 子供は、ママのとこに生まれてきて良かった!と感謝してく…

加害者

きょうだいに身体的・精神的いじめ、母にネグレクト、近所で性的虐待と、それなりにひどい目にあってきたわけなのだが、私は自意識過剰マンなので、この考えが頭を離れない。 「私は被害者の皮をかぶった加害者だった」 確かに虐待は受けた。今も心の傷が残…

凍てついた凝視

っていうんだね、あの目のこと。 一定のいじめを受けると、全てがどうでもよくなって、なにもかもバカバカしくなって、自分の顔から表情が消えるのが分かった。 私があまりに冷めた目をしているので、「なんだその目は」「お前は人を人とも思ってない!死ね…

ベランダ

洗濯などでベランダに出ると、たいてい鍵をかけられて締め出された。 トイレや押し入れと違って気が楽だった。何しろ空間が開けている。最悪、ここから飛び降りれば解放される。たぶん人生からも解放されてしまうが。まあ、なんにしろ逃げ場があった。 締め…

死にかけた

母が連れてきた人だった。真冬で、外には雪がつもっていた。 車に乗せてやるから遊びに行かないか?と言われ、二つ返事で乗り込んだ。雪の積もった夜はどこか明るく感じる。 車は見知らぬ方角へ走って、まったく人気のない倉庫街?にたどりついた。 なにが起…

忘れ物

とにかく忘れ物の多い子供だった。 忘れ物を反省させるためか、忘れ物カードというものがあった。 複数の記入があると廊下に立たされた。 いちいち叱られるのが面倒なので記入すら忘れたふりをした。廊下に立たされるのは別に苦痛ではない。どうしてもやる気…

カウンセラー

社会人になってから急に鬱病になり、病院に行ってみた。カウンセラーが常駐しており、話を聞いてもらうことができた。 「今は自分でお金を稼ぐこともできて幸せなのに、どうして鬱になってしまったんでしょうか」と聞いたら、 「きっと、過去を清算する時が…

言っちゃいけないこと

死ねと言われて育ったので、クラスメイトにも死ねと言っていたらひどく叱られた。言っちゃいけないことなら私にも言わないようにあいつらに指導してくれないか。 と当時の私はふてくされていたけれども、今は本当に反省している。「私だって普段から言われて…

ガラス戸の向こうに、包丁を持った人影がうろうろしている。 最期に見るのがその景色なのは嫌だったので、布団を頭からかぶっていた。包丁はどこに突き立つんだろう、どうせなら苦しまずに死ねるところがいい。布団を撫でる手があった。 「あんたはこんなに…

哀願

こたつの下にもぐりこんで寝るようになったら、今度は殴られ金を奪われる母の必死の哀願が聞こえるようになった。最悪だ。

ぎゃくさつ

ある日帰ったら、家の中はグチャグチャだった。すべてがひっくり返され、バラバラにされ、コードというコードが薬味のネギみたいに切られていた。丁寧な仕事だなと思った。 私は初めて家に土足で上がり、モノのぎゃくさつげんばでぼんやりたたずんでいた。 …

呼吸

アレルギー性鼻炎持ちだった。病院には一度かかったきりで、それ以降は行かせてもらえなかった。 「鼻息が荒くて気持ち悪い」と言われ続けた。 「鼻の通りをよくしてやる」と言われ、ストローを鼻に突っ込まれた。血がたくさん出た。 口でしか呼吸ができなく…

踏まれる

横になっていると全体重をかけて踏まれる。か、ボール遊びのように蹴られる。 痛いというより苦しくて、起きている人の気配がそばにあると眠れなくなった。 こたつの中でまんじりともせず眠るのが好きだった。上にものがあれば踏まれない。おかげで今でも寝…

中にもスイッチほしい

トイレに入ると、三回に一回くらいの確率で、外から扉を押さえられ電気を消された。 真っ暗なトイレは怖くて、泣き叫んで扉を叩くといつも笑い声が返った。そのうち、不意に力が緩み、私は勢いあまって外へ飛び出しながら転ぶ。 転んだ私の無様な姿を見て、…

罪悪

母のパチンコを見ていても別に面白くなかったので、近くのゲームコーナーにいた。 高齢男性がカウンターにいるだけの、小さなゲームコーナー。 踏み台に乗ってアーケードゲームをガチャガチャしている私に、男は背後から近づいてきた。 下着に手を入れてまさ…

鉄の扉

インターフォンもスコープもチェーンもないあの扉。 今でも夢に見る。恐ろしいものが入ってくるあの扉。

大から小まで

たんこぶを数えるのが日課だった。 10個を下回る日はほとんどなかった。